本記事では上記のような疑問を解消していきます。
行政書士資格を取得したら開業を考える人は多いのではないでしょうか。
行政書士開業にあたっては事務所選びや登録書類の作成などしなければならない準備や手続きが多いです。
また、いくらお金がかかるのかについても気になるところだと思います。
本記事では、これから行政書士開業を予定している人向けに開業の流れや準備、手続き等について説明していきます。
行政書士開業までの全体的な流れ
行政書士開業までの全体的な流れは以下の通りです。
行政書士開業の流れ
行政書士試験に合格
⇓
所属予定の行政書士会へ確認
⇓
事務所選び
⇓
登録申請書類等の提出
⇓
登録証授与式に参加
⇓
職印登録・看板設置
⇓
税務署へ開業届を提出
どこの都道府県で行政書士登録するにせよ上記の流れはだいたい同じだと思います。
登録申請書類等を提出する前に事務所物件を用意する必要があり、事務所向けに別途賃貸物件を借りる場合、行政書士事務所としての要件を満たしているかチェックする必要があるので注意しましょう。
登録申請書類等の提出から登録までは、時期にもよりますが、審査に1ヵ月から1ヵ月半程度はかかります。
参考までに東京都行政書士会のリンクを載せておきます。
行政書士開業の準備・手続き
本章では、行政書士開業の準備・手続きについて1つ1つ詳しく説明していきます。
行政書士試験に合格
当たり前ですが、開業のためには行政書士試験に合格する必要があります。
試験の概要は例年7月第2週に発表され、試験日は例年11月の第2日曜日、合格発表は翌年の1月下旬頃です。
開業には登録申請や登録証授与式への参加等があるので、合格発表発表を受けてすぐ登録申請を行うとしても、1ヵ月半から2ヵ月は最低でもかかると思っていたほうがよいでしょう。
ですので、最速でも3月、4月にはなると考えておいたほうがよいです。
試験は年一回ですので、なるべく早く開業をしたいなら一発合格を目指したいところ。
試験の難易度や出題傾向等を把握し、計画的に学習を進めていくことが大事です。短期的に、効率的に合格をしたいなら通信講座の受講をおすすめします。
近年では、格安ながらカリキュラムにボリュームがあるクレアールや、スマホでスキマ時間に学習できるスタディングなど5万円程度で受講できる格安の講座も増えてますので、コスパよく受講可能です。
※まだ試験に合格されてない方は下記の記事もぜひ合わせてご覧ください。 続きを見る
行政書士に合格するための完全ロードマップ【法律初学者向け】
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所属予定の行政書士会へ確認
まず所属予定の行政書士会へ自分が行政書士の登録予定であることを伝えて、各種登録書類をもらったり、登録にあたっての疑問を確認したりしましょう。
ネット上にも登録に関する情報はいろいろとありますが、登録の流れや提出書類は都道府県によって微妙に異なりますし、情報自体が古いという可能性もあります。
例えば、ネットで確認してた入会金が実際には値上げしてた、事務所の立ち合い検査があるとのことだったが自分の県では立ち合い検査がない、ということがあります。
ネットの情報だけで判断せず、所属予定の行政書士会に確認することが大事です。
事務所選び
行政書士の登録には事務所を設置する必要があります。
事務所とするのは自宅でも賃貸物件でも大丈夫なので、ご自身の事業計画や予算に合わせて選択しましょう。
事務所の住所は行政書士会のホームページにて公開されるので、公開されてもいい場所に事務所を設置することが大事です。
賃貸物件を事務所とする時の注意点としては、どの都道府県で登録する場合でも、賃貸人の承諾が必要ということです(都道府県によっては承諾書の提出まで求められます)。
事務所の要件や提出書類についても所属予定の行政書士会にしっかり確認しましょう。
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事務所備品・設備等の準備
事務所が用意できたら備品や設備等の準備も少しずつ行っていきます。
都道府県によって求められるのは微妙に異なるかもしれませんが、基本的には以下のものが必要です。
事務用机・椅子
書類保管庫
金庫
電話・FAX
コピー機
パソコン
来客用のテーブル・椅子
自分は宮城県での登録でして、事務所の立ち入り調査はなく、入会式参加後に、事務所内部の写真等の提出が求められました。
事務所の立ち入り調査がある県ならその前に上記の備品・設備をある程度用意しておくこととなるかと思います。
その辺の手続き・審査の内容やタイミングも都道府県によって違う可能性があるので、気になる方は事務局にしっかり確認しておきましょう。
※備品・設備の詳しい条件や費用相場、安くすます方法などについては下記の記事もご覧ください。
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登録申請書類等の作成
所属予定の行政書士会からもらった各種登録申請書類等を記入し、事務局へ提出します。
都道府県によっては、事務所の立ち合い調査があり、事務所としての適格性があるのか実際の物件を見て判断されます。
立ち合い調査がなくても事務所内の写真を撮って提出するはずで、宮城県行政書士会で入会した時は登録証授与式の後に提出しました。
なお、この各種登録申請書類等の提出時に入会金等の支払いをします。
登録証授与式に参加
提出した登録書類が無事通ったらその旨の連絡がきて、登録証授与式の案内書も届きます。
たいていは登録月に登録証授与式は開催されることが多く、登録証授与式の案内書が届いてから数週間以内の開催になると思います。
筆者の場合、登録証授与式の案内書が届いてから2週間後くらいに開催されました。
登録証授与式では、登録証だけでなく、登録後に提出する書類なども受け取ります。
また、出席する行政書士会の役員さんや同期の人たちと名刺交換する場合もあります。必須ではないですが準備できるなら名刺を持っていったほうがよいでしょう。
なお、登録証授与式にてバッジを購入可能です。購入のためのお金(2,600円ほど)も持っていくようにしておきましょう。
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職印の登録
登録証授与式時に職印登録の案内もされます。
職印は自分で購入し、所定の書類に押印、必要事項を記載の上で、事務局へ提出することになります。
最速で職印登録したいなら登録証授与式に職印を持って行ってもいいかもしれません。
ただし、職印の作り方についてはサイズ等の規定があり、各都道府県によって異なるので、購入前にしっかり把握しておくのが大事です。
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看板の設置
登録証授与式参加後、事務所に看板(表札)の設置が指示されます。
実際に看板を事務所へ設置して、写真を撮って書類に貼り付け、行政書士会の事務局へ提出します。
看板自体はコンパクトなものを扉などに貼り付ける程度で大丈夫ですし、ネットで買えばそれほど高くありません。
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開業届の提出
無事登録が完了したらその後は税務署へ開業届を提出しましょう。
開業届自体は必ずしも必須ではないですし、行政書士会から指示が出るわけではないですが、提出することで税制上様々な優遇処置があります。
屋号を付けることで、屋号付きの銀行口座を作ったり、融資を受けたりしやすくなるメリットもあるので、開業届はぜひ提出しておきましょう。
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行政書士開業に関するその他Q&A
行政書士開業はいくらかかる?
行政書士開業の流れだけでなく、開業にいくらかかるのかについても気になるという人は多いのではないでしょうか。
まず各都道府県の行政書士会に入会金等の支払いで最低でもかかります。
入会金等は各都道府県の行政書士会によって金額が異なっているので、一概には言えませんが20万~30万くらいはかかると思っておいたほうがよいでしょう。
この金額はあくまで最低限で、事務所を別途賃貸したり、事務所の備品等の用意などを考慮すると、もっとかかってきます。
行政書士を専業としてする予定なら生活費も確保しておく必要もあるでしょう。
行政書士開業費用に関しては別途記事を書いてますのでぜひ合わせてご覧ください。
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税務処理はどうする?
行政書士開業から初めて個人事業主として働くこととなり、税務処理はどうするべきか不安という人も少なくないのではないでしょうか。
帳簿付けの勉強は大変ですし、税理士に頼むのもコストがかかりそうですよね。
自力での帳簿付けに不安があり、コストもかけたくないという人は会計ソフトの導入がおすすめです。
会計ソフトなら少ない簿記の知識で帳簿付けや確定申告書類の作成が可能です。詳しくは下記の記事をご覧ください。
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【行政書士向け】会計ソフトおすすめ3選を紹介!
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ホームページを簡単に作るには?
事務所のホームページを検討しているが、どうやって作ったらいいのか悩むという人は少なくないのではないでしょうか。
業者に頼むにしても、コストがかかりますから、気軽には依頼できないかと思います。
その場合は、自分で簡単にホームページを作れるサービスの利用がおすすめです。
本サイトはWordpressブログという形で作っていますが、それ以外にもペライチやWix、Jimdoなどホームページ作成サービスは充実してます。
下記の記事にてまとめてますのでぜひ合わせてご覧ください。
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何を専門業務としたらいい?
まず行政書士がどんなことができるか把握することをおすすめします。
行政書士が扱う書類は1万を超えると言われており、対応業務も多岐にわたるからです。
対応可能な業務を把握した上で、特定の業務を深堀し、事務所の強みとしましょう。
仮に専門業務を持つことができず、実務に不安があるという人でも、法律系のWebライターという選択肢もあります。
Webライターなら実務経験は不要で未経験からでも案件を取りやすく、前述のクラウドソーシングサイトなどで多くの案件を見つけることが可能です。
完全在宅で仕事がというというのも大きなメリットです。
収入としては、副業でも月3万から5万程度は稼げて、本業だと月20万~30万くらいの方が多くなってます(多い方だと月50万~100万というケースもあります)。
実際、筆者もWebライターをすることがありますが、月3万から5万程度なら現実的に可能です。
開業したいが実務や営業に自信がないという方はWebライターから始めてみてはいかがでしょうか。
※行政書士業務やWebライターの始め方については下記の記事もぜひチェックしてみてください。
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行政書士資格はWebライターに最適!メリットと始め方を解説!
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実務はどうやって学ぶ?
一応行政書士登録すると新人向けの研修サイトは見れるようになりますが、あまり多くのことは学べません。
できれば、行政書士事務所などで実務をこなす中で学ぶのがいいでしょうが、求人は多くないですし、あったとしても未経験から採用されるのは難しいです。
ですので、実務を学ぶには、実務本を読んだり、予備校などが提供している実務講座を受けたりするといった形で、自助努力が必要となってくるでしょう。
中途半端な知識だと、実際対応する時に自信を持って回答できなかったりしますので、実務の勉強は時間と労力を惜しまず取り組んだほうがよいです。
※おすすめの実務講座については下記の記事をご覧ください。
どうやって集客するの?
開業してもどうやって集客したらいいのかわからないという人は少なくないのではないでしょうか。
リアルで人脈があったり、営業活動が得意だったりすればいいですが、みんながみんなそうではないと思います。
顧客がまったくのゼロから出発するならネット集客から検討してみましょう。
前述のブログやホームページ作成から始めてもいいですし、その他にもクラウドソーシングサイトやリスティング広告などネット集客の手段はいろいろとあります。
特にクラウドソーシングサイトはこちらから営業することなく仕事の獲得ができるので、最初の頃はぜひ利用を検討したいところです。
※ネット集客方法やおすすめのクラウドソーシングサイトについては下記の記事をご覧ください。
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仕事上の失敗や損害賠償が心配
行政書士は個人事業主なので責任を一人で負う必要があり、事業者を相手にすることも多いので、損害賠償額も大きくなるリスクがあります。
そのため、本当に実務ができるか不安という人は少なくないのではないでしょうか。
この点に関しては、おそらく行政書士登録後に全行団「賠償責任補償制度」を案内されるはずです。
最大だと、年間保険料20,600円の支払いにて、補償限度額3億まで(1請求あたり1億まで)補償されます(2022年度)。
もちろん仕事で失敗しないに越したことないですが、損害賠償が不安という人でも保険に入っておくことで万が一のリスクには対応でき、安心して業務ができるでしょう。
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独立前に転職はアリ?
独立する前に他の行政書士事務所等でお給料をもらいながら実務を学ぶというのを考える人も少なくないのではないでしょうか。
いきなり即独してもうまくやっていけるか不安ですよね。
しかし、行政書士事務所自体の求人は多くないですし、実務経験や年齢の壁があるのも実際のところです。
ただ、若ければ採用してもらえる可能性は高くなるので、20代で、求人の多い都市部にお住まいの方なら、転職という選択肢もアリだと思います。
行政書士事務所以外でも、税理士事務所や社会保険労務士事務所、司法書士事務所などでも募集してることがあるので、いろいろチェックしてみることをおすすめします。
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副業として始めるのは可能?
いきなり本業としてではなく、副業として取り組みたいという人は少なくないのではないでしょうか。
専業となってしまうと、稼げなかった場合に収入がゼロとなり、事務所経営自体も継続できないリスクがあります。
ですので、正社員として安定収入を得つつ、副業として少しずつ経験を積んでいくことも悪い選択肢ではありません。
ただ、副業だと平日の昼間に動くことができず、一般的に平日しか開いてない役所に行き来するのが厳しくなるというのがデメリットです。
特に役所へ頻繁に行く必要がある許認可申請業務などでは、スムーズな業務遂行は難しくなります。
そうしたデメリットを考慮した上で、副業として取り組むのか、副業としてやっていくにしても何を専門業務とするのか、検討するようにしましょう。
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事業用銀行口座はあったほうがいい?
事業用銀行口座自体は必須ではありませんし、登録する時も記載は求められません。
ただ、屋号付きの銀行口座があったほうが、クライアントからも信頼されやすくなるはずです。
逆に個人名の口座だけだと、「本当に開業しているのかな?」と疑いの目で見られる可能性もあるでしょう。
また、事業用の口座があれば、プライベートと分けることができますし、会計ソフトとの連携も容易となり、税務処理をより効率的に行えるようになります。
具体的には、会計ソフトと連携すると、明細を自動で読み込んで、仕訳してくれるという機能が利用可能。
お金の管理をしやすくするためにも、事業用の口座開設は検討しておきましょう。
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クレジットカードは作っておいたほうがいい?
事業用のクレジットカードもなければならないというわけではありません。
ただ、一部の業務でクレジットカードでないと決済できないのもあるので注意が必要です。
事業用口座と同じ理由で、プライベートの支出と分けることができ、会計ソフトとの連携も容易となります。
経費をなるべくカードで決済すれば、ポイントが貯まり、経費削減ができるのも大きなメリット。
キャッシュが不足して資金繰りが苦しくなった時でもカードがあれば、急場をしのぐことができるでしょう。
作成は必須ではないですが、お金の管理や万が一のために作っておくことをおすすめします。
なお、会社員を辞めた後で作ろうとすると、信用面で審査に落ちる可能性が高くなるので、会社員時代に作っておいたほうがよいです。
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まとめ
行政書士開業にはいろんな準備や手続きがあることがわかりました。
本記事にておおまかな流れや必要なものについて説明してきましたが、あくまで筆者の体験を元にした内容ですので、正確な情報を把握するには所属予定の行政書士会に確認することが大事です。
いざ開業しようとなった時にいろいろと足りないものに気づいたということにならないよう開業の流れや必要なものについてはしっかり把握しておきましょう。