行政書士試験の勉強をしていると司法書士の問題集を使ったほうがよいのでは思う時があります。
行政書士の試験対策を一生懸命しているのに、「思うように点数が取れない」、「行政書士のテキストや問題集にない問題がたくさん出てくる」といった時です。
確かに行政書士試験は昔に比べて難しくなってますし、毎年過去にない問題が出題されたりしています。
しかし、だからといって司法書士のテキストや問題集を使うのは試験のレベルが違いすぎるのでおすすめできません。
あくまで行政書士試験対策に絞ったテキストや問題集を使ったほうがよいです。
本記事では、行政書士試験対策に司法書士のテキスト・問題集を使うことの是非と、使わない場合の代替策を説明していきます。
なぜ行政書士試験対策に司法書士の問題集やテキストが候補に?
そもそもなぜ行政書士試験対策に司法書士の問題集やテキストを使うかが問題となるかについてです。
行政書士試験は平成18年以降に難化したと言われており、合格率も急激に下がった年もありました。
実際、民法は問題文がややこしくなりましたし、長文化しているため、理解が浅いとミスしやすいです。
また、民法は過去問の蓄積が少ないことも影響しています。
民法の択一は例年9問しか出題されないため、民法の学習範囲の割には過去問の出題実績が少ないです。
ちょっとでも過去問の範囲を超えた出題があると難化したと感じてしまう傾向にあるのです。
行政書士試験対策に司法書士のテキスト・問題集を使うべきか?
行政書士試験対策として司法書士のテキスト・問題集はどれだけ有効なのでしょうか。
試験間の差等について見ていきましょう。
【結論】行政書士試験に司法書士のテキスト・問題集はおすすめできない
結論から言うと、行政書士試験に司法書士のテキスト・問題集はおすすめできません。
行政書士と司法書士を比較すると、試験範囲が違いすぎます。
一般的に市販されている行政書士の基本書は1000ページ以下ですが、司法書士では民法だけで1000ページ程度に達するほどです。
法律の入門者では、司法書士の民法を完璧にするだけで、下手すると1年以上要することになりかねません。
ましてや仕事しながらではとても無理筋だと思います。
それでもあえて司法書士の教材を使うメリットがあるとすれば、司法書士のテキストを辞書代わりに使うことでしょうか。
司法書士のテキストのほうが、事例や制度趣旨の記載等で詳しい場合もあります。
行政書士の勉強でどうしてもわからない、詳しく知りたいという時にピンポイントで参考とするのはアリだと思います。
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勉強時間が足りなくなってしまう
上述の説明と重なりますが、一回司法書士の参考書や問題集に手を出すと完璧にするまでかなり時間がかかるので、勉強計画が破綻してしまいます。
手を広げてもその分知識が身に付くとは限らず、行政書士試験合格に必要な基本論点すらあいまいな知識となって、基礎が揺らいでしまう可能性が高くなります。
そもそも行政書士は半年から1年で受かる試験に対して、司法書士はたいていの場合2年から3年は最低かかると言われる試験です。
行政書士の試験範囲の広さに不安になるのは理解できますが、だからといって司法書士の参考書や問題集で勉強するのはやめましょう。
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最終目標が司法書士合格の人はどうする?
司法書士合格を目指していて、その過程で行政書士も受けてみようというのであれば、司法書士の教材を中心に勉強するのは問題ないでしょう。
司法書士の教材なら行政書士の憲法や民法、商法は問題なくカバーしています。
逆に、当面は行政書士目標だが、受かったら司法書士も受ける予定の人という場合があります。
司法書士の教材を使いたい誘惑にかられると思います。
この場合は、司法書士の教材を使うとしても、余裕を持った勉強計画が必要です。
できれば1年前くらいからでないと、司法書士の教材は消化できませんし、ましてや直前期近くになって使い始めたら基礎もおろそかになってしまうでしょう。
ちなみに、司法書士のテキストで初学者にもわかりやすいのは「オートマシステム」や「リアリスティック」です。
難解で抽象的な説明になりがちな法律の解説をかみくだいた形で、かつ講義形式でしてくれるのですんなり頭に入ります。
司法書士問題集以外のおすすめ問題集
本章では、司法書士のテキスト・問題集を検討していた人向けにおすすめの問題集を紹介していきます。
合格革命 行政書士 一問一答式 出るとこ千問ノック
「合格革命 行政書士 一問一答式 出るとこ千問ノック」は、Wセミナーが出版している一問一答問題集です。
一問一答だから学習初期向けの問題集では?と思うかもしれませんが、本問題集は適度にオリジナル問題が含まれており、適度に過去問にない論点をつぶすことができます。
一問一答なので問題文も短いので、学習もしやすいはずです。
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合格革命 行政書士 肢別過去問集
「合格革命 行政書士 肢別過去問集」は「合格革命 行政書士 一問一答式 出るとこ千問ノック」と同じシリーズで、Wセミナーが出版している過去問集です。
過去問集ながらオリジナル問題も多く掲載されており、未出論点を補強するのにも役立ちます。
過去問集としても昭和からの問題を掲載しているため、過去問演習としては必要十分です。おそらく市販の過去問集の中でもトップクラスの収録数ではないでしょうか。
勉強したのに合格ラインになかなか乗らないというのは、過去問演習が足りてない可能性があるので、本問題集にて過去問を完璧にしてみましょう。
※肢別過去問集の使い方については下記の記事をご覧ください。 続きを見る 続きを見る
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公務員試験過去問
ここまで行政書士と司法書士について書いてきましたが、公務員試験の過去問を利用するという手もあります。
司法書士は難易度に差がありますが、公務員試験は範囲も難易度も近く、問題も素直なので、行政書士試験の演習として問題集を探しているのであれば、公務員試験の過去問がおすすめです。
具体的には公務員試験の過去問である、「スー過去」、「クイックマスター」あたりが使いやすいです。
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市販の行政書士向け模試
市販の行政書士向け模試は本試験レベルの問題であり、予想問題も兼ねていることから、基礎があってプラスαを求めている人にはおすすめです。
司法書士問題集だと範囲が広すぎですが、市販の行政書士模試なら適度に学習範囲を広げることができるでしょう。
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独学では受かりそうにないと感じたら予備校受講もおすすめ
行政書士に司法書士のテキストや問題集の利用を考えている人は、「行政書士のテキストや問題集を使っているが合格ラインに届かない」という場合が多いかもしれません。
その場合は、上述のように司法書士ではなく公務員試験の過去問で演習を重ねてみることをおすすめしますが、それでも効果がない時は、独学での勉強について再検討したほうがよいと思います。
行政書士は専門的で、試験範囲が広いので、独学では難しいケースがあります。
また、予備校なら合格に必要最小限の学習範囲を提示してくれるので無駄がないです。
学習をある程度完了した人は、中上級者向けの行政書士講座を取り、演習をとにかく重ねて理解度を深め、得点につなげる知識の整理をすることをおすすめします。
逆に基礎に不安があるという人は入門講座から受けたほうが近道の場合があります。
めんどくさい、入門講座は高そうと思うかもしれませんが、通信講座なら安いですし、演習や答練込みのカリキュラムのところも多いのでおすすめです。
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まとめ
これまで行政書士と司法書士について書いてきましたがいかがでしたでしょうか。
いろいろ述べてきましたが、やはり自分が使いやすい、長く使えるものを軸にするのがいいと思います。
本試験に受けるというのが目的なので、試験までにしっかりこなせて消化できるように、教材選び、勉強計画をしっかり検討しましょう。
※本ブログでは行政書士試験に関する情報を幅広く紹介してますので他の記事もぜひ合わせてご覧ください。
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